『夏への扉』所謂、四角四面な性格の人間である私は、自分が人生に於いての突発的な事件にとても脆く出来ているのではないか?と思い悩む傾向があるようだ。人生のパートナーとも思っていた猫が、死んだ。 偶然か、あまりのショックのせいかは知らないが、40度以上高熱を出し、あげく止まらぬ咳を伴った風邪を引いて今に至る。そんな風に過ごしていた矢先に友人から1冊の本を紹介され、コンコンと咳をしながら一気に読んだ本が『宇宙の戦士』で著名なSF作家、ロバート・A・ハインラインの『夏への扉』である。 内容を背表紙から転用すると 簡単にしてしまうと、ネタバレしてしまうが、ようは、発明家で猫のピートをこよなく愛す「ぼく」が、恋人とビジネスパートナーに裏切られ、ボロボロになるが、冷凍睡眠とタイムマシンを駆使し、ピートを助け出しつつも悪人退治をするというSFミステリー。多くの謎解きをしながら奔走する主人公に感情移入しているうちに一気の読んでしまうエンターテイメント大作である。 自分の猫が死んでしまったタイミングで読む本か?と言われれば悩ましいが、読み終わってしばらくたってから、ちょっと嬉しく不思議なことがあった。彼女が逝ってしまった事を題材に、私の連載する『本とも』のエッセイに書いた後の事である。私は彼女が死んでしまった事を受け入れるのも向き合うのも出来ず、締め切りを大分過ぎても、なかなか書けずにいた。そのくせ、どうしても彼女を題材に書きたかった。 編集長の優しい慮りもあって、やっと向き合い書き終えたその夜の事だ。この『夏への扉』さながら、タイムマシンを使って彼女を連れてくると云う夢を見た。夢の場面は私の家で、友人たちが「この子、あの子にそっくりだね」と言う。そして私はけろりと言うのだ。「うん。だって同じ子だもの」と。そして私はいつものように「撫でてあげる」の合図として椅子の縁を指先で3回叩き、満足そうに背中を丸める彼女の背中をするりと撫でるのだ。 幸せな夢だった。心の澱が取り除かれたような気分だった。かなり前に読んだ本でも、こんな風に夢に出てくる事がある。きっと、脳の何処かにインプットされたまま忘れ去られて、ふとした時に出てくるのだろう。 読み終わった時には「タイムマシンなんて夢のまた夢」と思っていたが、同じく夢のまた夢の、まるで手塚治虫のアトムのように大空を飛び回る「人間ジェット機」なるものがスイスか何処かのヨーロッパで発明されたという。ともすれば、「タイムマシン」も近い未来なのかも知れない。 |
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